タイの裁判所ってこんな感じです

タイの法律
タイの法律

〜ある日系法律事務所に勤める日本人コーディネーターが見た、リアルなタイの裁判所の風景〜

タイで法律関連の仕事をしていると、どうしても避けて通れないのが「裁判所」。私も日系の法律事務所で働くようになってから、何度となく足を運ぶ機会がありました。最初はドキドキしながら通っていたものの、今ではすっかり慣れて、顔を覚えられるほどになってしまいました(笑)。

今回は、そんな私が実際に見て感じた、タイの裁判所のリアルな様子をちょっとだけお届けします

入館チェックは基本「厳しめ」…でも、どこか「ゆるい」

身分証の確認

まず入口で行われるのが、身分証の提示です。タイ人はIDカード、外国人はパスポートを提示しないと入れません。もちろんセキュリティゲートもありますし、荷物チェックも行われます。日本と同じく、裁判所という場の厳粛さは感じます。

顔パスもOK??

…が、何度か通っていると分かるのが、その“厳しさ”もタイ流ということ。いつの間にか顔を覚えられ、「今日はパスポートいいよ」と顔パスされるようになったのは、ちょっとした驚きでした。


謎だらけのスケジュール掲示板

裁判所の入口には、その日の公判予定表が大きく張り出されています。時間、部屋番号、事件番号などがズラリと並んでいて、一見するときっちり管理されている印象。

同時裁判??

でもよく見ると、「同じ部屋」「同じ時間」に複数の事件が並んでいることが普通にあるんです。「え、これ全部9時から?事件が10件もあるけど?どうやって?」と最初は困惑しました。


公判は、だいたい時間通りに始まりません

実は、タイの裁判では「時間通りに始まる」ことの方がレアケース。予定の時間になっても、部屋には誰もいないこともしばしばです。裁判官はもちろん、当事者も、その部屋の担当係官すらいないことも…。

しばらくして、ようやくその部屋の担当係官がやってきて、その日の事件の関係者が揃っているかをチェックし始めます。でもこの段階で関係者全員がそろっていることはまずありません。

数件の関係者が揃ったところで、係官が奥に控えている裁判官に連絡。やっと裁判官が法廷に現れ、公判が始まる…という流れなんです。


裁判官の登場から、公判の進行へ

裁判官が入廷すると、室内の全員が起立してお出迎え。裁判官は一段高くなった席に座り、手前には係官の席があります。

係官が事件の書類を裁判官に渡し、裁判官がそれに目を通して関係者を呼び出します。その後、当事者たちが前に進み、公判がスタートします。

順番通りではない??

書類は恐らく訴状や証拠資料など。係官が渡す順番で進むので、早く来たからといって早く処理されるとは限らないんです。


意外とざわざわしている法廷内

日本のような静まり返った法廷を想像していると、ちょっと面食らうかもしれません。タイの裁判所では、公判中に別の事件の弁護士が書類を提出しに来たり、関係者が普通に入退室したりします。

基本的には携帯電話の使用は禁止

携帯電話の使用は禁止されているはずなのですが、多くの人がマナーモードにして普通に画面を見ています。なぜなら、自分に関係のない事件が延々と続く時間が長いから。皆、ひたすら待っているのです。

ただし、厳しい裁判官に当たると携帯電話を使用してるのを怒られたりするので使用しないように心がけています。


どの事件が先になるかは“神のみぞ知る”

裁判官は、事件の処理順をあらかじめ決めているわけではないように見えます。係官が渡す書類の順に従って淡々と進めていく印象。

ただ、「ややこしそうな事件」は後回しにされがちというのが、私の経験則。おそらく、簡単なものを先にサクッと処理し、最後にじっくり対応したいという意図があるのでしょう。

出入り自由??

そして、自分の事件が終われば、別の事件の最中でも平気で退出していきます。逆に、遅れてきた関係者も、公判中に普通に入ってきます。

なんというか…自由というか、おおらかというか、まさに「タイらしい」空気感が漂っています。


ゆるそうに見えても、裁判官は本気です

そんな裁判所の光景を見ていると、「こんな感じで本当に大丈夫?」と思うかもしれません。
でも、そこはやはり裁判。裁判官は人によってはかなり厳しく、妥協を許さない姿勢を見せる場面もあります。

ゆるい空気の中にもしっかりと“厳格な部分”がある。それが、タイの裁判所の独特なバランスなのかもしれません。


最後に

タイの裁判所は、日本のような時間厳守・静寂重視の雰囲気とはかなり違います。でも、だからこそ見えてくる“人間らしさ”や“柔軟さ”があり、何度も訪れているうちに愛着が湧いてきます。

これから裁判所に行く方がいれば、「時間通りに進まないのが普通」「静かじゃないのも普通」という心構えで挑んでみてください。もしかすると、あなたもその“タイらしい裁判所”の空気に、ちょっと癒されるかもしれません。

是非弊社へお問い合わせください。

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