タイでの手続きと注意点を徹底解説
国際結婚が増える中、タイ人と日本人の夫婦が離婚するケースも少なくありません。
日本とタイでは離婚制度に大きな違いがあり、特に手続き方法・必要書類・親権や財産の取り扱いに注意が必要です。
この記事では、タイでの離婚手続きの種類や注意点、日本人配偶者が押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。
タイでの離婚は大きく2種類
✅ ① 合意による「行政離婚(Uncontested Divorce)」
夫婦の双方が合意している場合、地方役所(Amphur)での手続きのみで即日離婚が可能です。
財産分与や親権などについて合意内容を文書で明確にしておくことが求められます。
必要書類:
- 結婚証明書(原本2通)
- タイ人配偶者のIDカードおよび住居登録簿(タビアンバーン)
- 日本人配偶者のパスポート(タイ語翻訳+外務省認証済)
- 離婚合意書(財産・親権・養育費の記載必須)
- 証人2名の署名
所要時間・費用:
- 手続き期間:当日〜数日
- 費用:200〜1,000バーツ程度(日本円で約1,000〜4,000円)
✅ ② 裁判による「裁判離婚(Contested Divorce)」
片方が離婚に同意しない場合や、財産分与・親権について合意できないときは家庭裁判所での裁判が必要です。
ただし、裁判離婚には必ず法的な理由が必要です。これはタイ民商法典第1516条に基づいています(後述)。
基本的な流れ:
- 家庭裁判所へ離婚申し立て
- 調停(合意できるかの話し合い)
- 合意に至らなければ審理 → 判決
期間と費用:
- 所要期間:3〜6か月ほどが一般的
- 費用:弁護士費用+裁判費用(状況により異なる)
離婚手続きで押さえておきたい重要ポイント
● タイでの在住実績が必要
どちらか一方でもタイに在住していることが、離婚手続きを進めるうえでの前提条件となります。
● 離婚合意書の内容はできるだけ詳細に
行政離婚であっても、財産分与・親権・養育費などを明記した合意書を提出しないと、調停や争いに発展するリスクがあります。
● 外国人配偶者の書類には翻訳・認証が必須
パスポートなどの書類はタイ語に翻訳したうえで、タイ外務省や在タイ日本大使館の認証が必要な場合があります。
● 財産分与のルール
タイでは婚姻中に得た共有財産は原則として2分の1ずつ分割されます。婚前の個人財産は分与対象外ですが、土地を購入している場合などは出資証明などが必要になることがあります。
● 子どもの親権と養育費の取り決めも明確に
行政離婚でも合意書に反映すれば、裁判所でも尊重されます。後々のトラブルを避けるために、親権・養育費についても書面で取り決めておくことが大切です。
● 離婚後のビザと日本での手続きも忘れずに
- タイの結婚ビザは離婚と同時に失効します。離婚後は別の在留資格が必要です。
- 日本側では、離婚成立後に在タイ日本大使館または本籍地の役所へ「海外離婚届」を提出する必要があります(裁判離婚の場合は「認容証明書」も必須)。
日本人配偶者が気をつけたいこと
- 離婚後も必ず日本側で戸籍処理をすること。行政離婚・裁判離婚いずれも対応が異なります。
- 親権・養育費は国によって法律が異なるため、タイと日本それぞれの法制度を理解したうえで手続きを行うことが重要です。
裁判離婚を進めるには「理由」が必要(第1516条の要件)
タイの法律では、裁判離婚は「どちらか一方の希望」だけでは成立しません。以下のような理由(法定事由)を立証できる場合のみ認められます。
タイ民商法典第1516条:裁判離婚の10の理由
- 不貞行為(Adultery)
- 不品行(Misconduct)
- 身体的・精神的虐待
- 1年以上の遺棄(Desertion)
- 3年以上の行方不明
- 養育義務の放棄(生活費・扶養の不履行)
- 治療不可能な精神疾患が3年以上
- 結婚時の誓約に反する重大な行為
- 治癒不能な感染性疾病
- 恒久的な身体障害(性交不能等)
「性格の不一致」や「気持ちが冷めた」だけでは認められません。
具体的な証拠や資料を用意し、申立てに備えることが必要です。
離婚手続きの比較まとめ(表)
種類 | 手続き場所 | 主な流れ | 所要期間 | 費用 |
行政離婚 | 地方役所(Amphur) | 書類提出→署名→離婚証明書発行 | 即日〜数日 | 200〜1,000バーツ程度 |
裁判離婚 | 家庭裁判所 | 申立→調停→審理→判決 | 3〜6か月程度 | 弁護士費+裁判費用 |
最後に:トラブル回避には専門家のサポートを
- 合意による行政離婚は、スムーズかつ費用も抑えられる方法です。
- ただし、親権や財産などで争いがある場合は、法的な根拠と証拠に基づいた裁判離婚が必要になります。
- 翻訳・認証・書類の整備・ビザの対応など、細かな実務も多いため、専門家のサポートを受けることでトラブルを未然に防ぐことが可能です。
「自分のケースはどちらに当てはまるのか?」
「法的理由があるか不安…」「子どもや財産の扱いはどうなる?」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、タイ法務に詳しい専門家へご相談ください。
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