会計業務のアウトソースで不正防止??
「タイでの会計業務アウトソースのメリットとデメリット①」でも書きましたが、今回は会計事務所に会計業務をアウトソースした場合に 不正を防げるのかという観点から考えてみます。
不正の種類
一言で「不正」と言っても色々なものがあります。全てを例に出すことは不可能ですが、ここではいくつかの「不正」を取り上げて解説します。
虚偽の報告
会社及び社員が報告するものに正しくない情報が含まれている場合を「不正」と呼びます。
日本公認会計士協会のホームページでは、「不正」を以下の様に説明しています。
不正とは、財務諸表の意図的な虚偽の表示であって、不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を含み、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為をいう。
https://jicpa.or.jp/cpainfo/introduction/keyword/post-68.html
会社の利益を奪う行為
また、会社の利益を奪う行為も「不正」と呼ばれます。
例えば以下のような不正があります。
(1)現金の横領
(2)経費の水増し請求
(3)商品の横流し
(4)業者からのバックマージン
(5)私有企業経由の購買
一般的に「不正」と聞くとこちらのイメージを持つ方が多いかと思いますし、私たちがお客様から不正に関しての相談を受ける場合もほとんどがこのようなケースとなります。
会計事務所が防げる不正、防げない不正
会計業務を外部の会計事務所にアウトソースしている場合には、防げる不正と防げない不正があります。
「虚偽の報告」の不正を防げるか
「虚偽の報告」に当たる不正、こちらに関しては会社として作成する財務諸表を会計事務所が作成するわけですから、誤りが起こることはありますが(記事:タイでの 会計業務アウトソースのメリットとデメリット①参照)、虚偽の報告をするということはまずありませんので、この不正は防ぐことが可能です。また、会社の経営者が虚偽の報告をして財務諸表を良く見せるなどという不正も、監査によって防ぐことが出来ます。
「会社の利益を奪う行為」の不正を防げるか
上述したそれぞれの不正に関して会計事務所が不正を見破れるかどうかを確認します。
(1)現金の横領
現金の横領は一番わかりやすい不正で、会計事務所が不正を見破りやすいです。
但し、現金を横領する人間が無くなった現金の整合性を持たすために社内の支払い伝票などを偽造した場合、会計事務所はこの不正を見破りにくいです。特に責任者のサインやハンコが押されている場合は、会計事務所ではほぼ見破ることが出来ません。(責任者はめくらサインに要注意)
(2)経費の水増し請求
(3)商品の横流し
(4)業者からのバックマージン
(5)私有企業経由の購買
上記(2)~(5)の不正に関しては会計事務所はほぼ見破ることが出来ません。
実は会計事務所はほとんどの不正を見破ることは出来ませんが、この理由は、会計事務所は受け取った情報から正確な会計レポートを作ることが主な仕事で、受け取った情報(伝票)の整合性が合っていれば何も疑いを持たないから、です。
会計事務所が防げない不正も多い
会計事務所はその仕事の性質からむしろ不正を見破ることが難しいのです。ですので、不正をさせたくないので会計業務をアウトソースしているという方は、その考え方を改めた方が良いかと思います。会計業務をアウトソースしているのに別のところで不正が発覚した場合に会計事務所を責める方もいますが、これも見当違いな行動です。
社内の会計担当者の方が不正を見破りやすい
しかし、社内にいる会計担当者はそうではありません。毎月同じような支払いや伝票を処理して記帳を行っていると、「何かおかしいな」ということに気付くことが多いです。実は、不正を見破る、不正を防止する、という観点からは、社内にて会計業務を行った方が不正を見破りやすいのです。
社内で会計業務を行った場合には、社内の会計責任者が不正を行った場合、特に現金の横領を行った場合には、見破ることができるのは経営者しかいません。つまり経営者はめくらサインを止め、常に真剣に数字と向き合っていくことが大切となります。
まとめ
メリット | 料金が安い(?) |
デメリット | 正確な仕訳が難しい 不正を見破りにくい |
メリット | 正確な仕訳を行いやすい 不正を見破りやすい(比較的) |
デメリット | 給与が高く経費が高くなる |
今までをざっくりまとめると上記のようになります。ただし、これは一概に言えることではなく、色々な条件や制約によってはこの限りではありません。
結局、会計業務をアウトソースしている場合でも社内で行っている場合でも、どちらも正確な会計を行うことと不正を防ぐためには経営者・責任者がいい加減なチェックをするのではなく、必ず自分でチェックして最終判断をするというのが最も重要です。アウトソースの場合は、経営者・責任者が会計事務所におかしい部分を直接問いただせるという環境も大切です。
その次に重要なことは、会計業務をアウトソースしている場合でも、会計事務所との窓口になっている社内の会計担当者は、きちんとした会計の知識と各部署の当事者にきちんと確認するひと手間を惜しまない人物が必要となります。
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