タイでの 会計業務アウトソース の メリットとデメリット①

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タイにおける会計のハードル

タイにおける会計業務を外部の会計事務所に依頼するアウトソースに関して、そのメリットとデメリットを紹介いたします。

タイで会計のアウトソースは自然な流れ

タイではほぼ全ての書類がタイ語で表記されていて、特に税務署へ提出する書類は完全にタイ語のみとなります。これを日本人経営者、又は、日本人駐在員が扱うにはタイ語のスキルが必須となりますが、正確に書類を扱えるほどのスキルをお持ちの日本人の方は少ないので、多くのタイ語書類を扱う会計業務を外部の会計事務所に依頼する(アウトソース)というのはごく自然な流れと言えます。
一方で、販売実績、生産実績、経費などは、社内で数字を管理していて常にリアルタイムのレポートを作れるようにしている会社が多いかと思います。外部の会計事務所を雇っている場合でも、会計事務所からのレポートを待たずとも、販売・生産・経費などの数字は把握されているはずです。(これらの数字を自分で把握していない経営者は注意が必要ですよ!)

会計事務所が行っている業務

これら社内で管理している数字と、会計事務所が扱う数字(作成するレポート)は何が違うのかと言いますと、会計事務所が作成するレポートは「会計の締め」を行った後のレポートとなり、それには販売や購入の情報だけでなく 税金及び現金や資産の増減との完全なる一致が含まれています。
このように言われると、やはり会計事務所の人たちには自分たちが持っている以上のスキルがあり、きっちり正確なレポート(財務諸表)を作成してくれているのだと思うかもしれませんが、実はそうでもありません。

重要な会計業務「仕訳」

会計事務所がレポートを作成する際には もちろんお客様の会社から提出された数字、つまり、社内で作成しているレポートの数字と同じものを使っています。しかし、経験したことがある方も多いと思いますが、会計事務所が出してくるレポートと社内のレポートの数字が合わないことがあります。元々同じ数字を使ってレポートを作成しているのに、なぜ2つのレポートの数字が合わないのか、その理由は「仕訳」にあります。
会計事務所の仕事で大きな割合を占めているのがこの「仕訳」になりますが、実はこの「仕訳」は、会計事務所だけで正確に行うことが難しい業務でもあります。

注:「仕訳」以外にも数字が合わない理由はありますがそれらは他の記事にて説明いたします。

正確な「仕訳」は会計事務所では難しい

「仕訳」という業務は、例えば会社が「何か」に対して支払いをした際に、それが何のためなのかを明確に記録に残すことだと言えます。この仕訳を行う会計事務所の担当者は、この場合でいう「何か」を正確に把握していないと正しい仕訳を行うことができませんが、外部の人間である会計事務所の担当者がこの「何か」を把握しているという可能性は低いです。
会計事務所の担当者がこの「何か」が何のことかわからない場合、その担当者はお客様の社内の「会計担当者」に問い合わせを行います。社内の「会計担当者」が、きちんと社内の当事者へ確認して回答すれば会計事務所で行う仕訳は正確なものとなります。しかし、もし、社内の「会計担当者」が当事者へ確認することなく会計事務所へ誤った回答してしまうと、その仕訳は誤ったものとなり、結果的にレポートの数字が実際と異なってしまいます。

会計事務所からのレポートが誤っていても、それは会計事務所が100%悪いというわけでもなく、上述の例の様に、もしかしたら社内の「会計担当者」のスキル不足や怠慢から起こっているかもしれません。しかも、この場合はとても厄介で会計事務所を変更しても問題は解決しません。

正確な会計が必要なら

たまに、「会計を正確にするために会計事務所を使っている」という方がいらっしゃいますが、上述したように外部の会計事務所へアウトソースしていても正確な会計を行えるとは言えません。
不正においても同じで「不正をされたくないから会計事務所を使っている」という方は、不正の種類によっては会計事務所を使う方が発覚できないリスクが高まるということを知っておく必要があります。(こちらは次の記事で詳しく書きます)

では、正確な会計を行うためにはアウトソースが良いのか、社内で会計業務を行った方が良いのか、どちらが良いのでしょうか?実はどちらでも良いと考えます。どちらの形でも正確な会計を行うことが出来ますし、どちらの形でも誤りが起こることがあります。どちらの形でも、正確な会計を行うのに一番大切なことは、経営者や各部署の責任者が自分で会計の数字をチェックすることです。
経営者や各部署の責任者は、自分の責任範疇の数字を常に把握しながら会計レポートと見比べ、会計レポートの数字がおかしいと感じた際には、「なぜこの数字なのか」「数字は漏れていないのか」「仕訳は正しいのか」「日付は合っているのか」等々を、作成者に直接問いただせる環境が重要です。

会計業務をアウトソースしている場合は、このように直接問いただせるようにしておくことが会計事務所に正確な会計を行わせるために必要です。

正確な会計を行うためには他にも「社内の会計担当者の業務を適正化させる(トレーニング、人材の入れ替え)」ことや「ERPソフトウエアで各部署の数字と会計の数字をシステムで自動的に一致させる」ということが大切です。

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