タイにおける 会計事務所の良し悪し の見分け方

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タイにおける 「 会計事務所の良し悪し 」の簡単な見分け方について説明します。
ただし、これから依頼をしようとしている会計事務所の良し悪しの判断基準とはなりません。あくまでも既に会計のアウトソースをお願いしている会計事務所に対しての評価を行う1つの判断基準となるものです。

会計をアウトソーシングせず、社内にて会計マネージャーが決算書の作成まで取りまとめている場合でも、その会計マネージャーのスキルの判断基準の1つになり得ます。

Unclaimed Expenses, Add back, Non-deductible Expenses

報告されてきた決算書や会計レポートの中の、PL(Profit and Loss、損益計算書)の中に、「Unclaimed Expenses」又は「Add back」又は「Non-deductible Expenses」という科目があります。これらは全て同じことを意味していますので、御社の決算書の中にもこのうちのどれか1つがあるかと思います。
まずはこちらの数字を確認します。この数字が全体の数字に比べて多いか少ないかを見てください。

いわゆる「会社の経費」になっていない

この科目は、日本語では「損金不算入費用」と呼ばれます。損金不算入とは何を意味するかというと、簡単に言えば「税金を支払わなければならない」ということになります。

特に個人企業の経営者などは注意が必要ですが、「経費にするから」と言って会社と関係ない費用を会社で支払うケースもあるかと思いますが、それが損金不算入として計上されてしまうと、考えているような「経費」にはなっていません。
いわゆる「経費」の良い点は、売り上げで得たお金をそのまま使えるので 税金を払わない分 得している、という理解ですが、上記のこれらの科目(Unclaimed Expenses, Add back, Non-deductible Expenses)に入っている費用は税金控除の対象となりませんので、税金分の得をしているということはありません。

会計事務所の仕訳ミス

もし、普通は「経費」として扱われるべき費用が この損金不算入費用に入れられてしまったら、御社はそこにかかる税金分を「損している」ことになります。これは会計事務所の「仕訳ミス」によって起こります。

仕訳ミスにより利益が減る

この損金不算入費用の数字が 経営者が考えるより大きい場合、会計事務所は仕訳ミスをしている可能性が高いです。そしてそのミスにより御社は本来払う必要の無かった税金を払うことになり、その税金の分 御社は損をしてしまい 利益が減少します。良くない会計事務所を利用すると会社の利益が減るのです。

なぜ仕訳ミスが起こるのか

会計事務所の仕訳ミスは頻繁に起こります。理由は単純で会計事務所の仕訳をする人が わからない伝票やお金の流れに対して、きちんと御社の担当者へ確認をせずに仕訳してしまうから、又は、御社の会計担当者が会計事務所から質問されてもきちんと社内の担当者へ確認せずに適当に回答してしまうから、です。

このことは下記の記事でも説明しています。

例外:損金不算入費用が大きくても仕方ない会社

ただ、この損金不算入費用の数字が必然的に大きくなってしまう会社もあります。

営業方法として接待に比重を置いた営業スタイルをとっている会社では、対売上げの比率で0.3%以上の接待交際費が発生してしまうと 超過した分は損金不算入費用として計上されますので、営業活動をすればするほど損金不算入費用の数字は大きくなります。他にも、社用車として損金算入できる範囲を超えた車両を多く所有している会社なども、損金不算入費用が大きくなっています。

Loan to Director と Loan from Director

もう1つ、会計事務所の良し悪し を見分ける方法として、報告されてきた決算書や会計レポートの中の BS(Balance Sheet、貸借対照表)の中の、「Loan to Director」と「Loan from Director」という科目を確認する方法があります。

Director が会社と個人的な貸し借り

この科目は、取締役(Director)が会社と個人的に現金を貸し借りした金額を記載している科目です。

  • Loan to Director   取締役が会社からお金を借りている金額
  • Loan from Director 取締役が会社へお金を貸し付けている金額

*会社によっては Director ではなく Share holder となっています(Loan to Share holder 等)

もし、取締役が会社と個人的な貸し借りをした覚えが全く無ければ、これは会計事務所が勝手に作った数字となります。

会計事務所が Director の借金を作る

なぜ会計事務所が勝手に取締役(Director)の借金などを作ってしまうかと言いますと、1つには御社の伝票とお金の流れが一致しない、ということがあります。もちろん、それらが一致しない場合には、詳細まで調べて 伝票とお金の流れを把握して 伝票とお金の流れをきちんと一致させる、というのが「会計の締め」という作業になりますので、会計事務所にはそうやって数字を一致させる義務があります。しかし会計事務所としては、詳細を調べる時間が無い、人手が足りない、面倒くさい、などの理由から一致しない数字をこれらの科目(取締役の個人的貸し借り)に割り振ってつじつまを合わせます。

会計事務所の「杜撰さ」を表す

取締役や経営者の方で、個人的に会社とお金の貸し借りをした覚えがないのに、BS内の「Loan to Director」と「Loan from Director」の数字が大きい場合には、会計事務所がかなり杜撰な会計を行ってそのつじつまを合わせています。その金額の大きさだけ 会計事務所が杜撰な会計処理をしている と言っても過言ではありません。

横領をされている場合も

「Loan to Director」は横領をされた形跡だった などという場合もあります。社内のスタッフがただ単に会社から現金を引き出しただけの単純な横領をした場合、杜撰な会計事務所はそのお金のつじつまを合わせるために「Loan to Director」へ仕訳します。なんと非合法のお金の流れを合法化してしまうのです。会計をアウトソーシングすることにより不正を見つけられない1つの例となります。

監査をしているのに

タイでは全ての企業が監査を行わなければならないので、監査人(CPA、日本でいう公認会計士)を雇って年に1回監査を実施しています。監査をしているのだから、上記のようないい加減なことは無いのではないか、という疑問も浮かびますが、良くない会計事務所は大抵提携している監査人がいまして、その監査人は大抵のことをスルーしてしまいます。

中にはそのように提携している監査人でもはきちんとした人はいて、上述したようなことでおかしいと思うことがあれば、これで間違いがないかという内容の確認文書を作って経営者のサインを求めます。しかし、それを経営者に渡してくるのが会計事務所の人か会計担当者で、「とにかくこれにサインしないと監査が終わりません」というので内容もよく確かめずに目くらサインをしている経営者の方が多く、これにより監査をしていてもすり抜けてしまうのです。

経営者の方がこれらの書面にしっかりと目を通して、自分でおかしいと思ったらどんどん質問していく、そのような環境があれば仕訳ミスも不正も起こりにくいです。

会計事務所に詳細を説明させる

これまでに述べてきた「損金不算入費用」と「取締役の貸し借り」の数字をチェックして、その数字が大き過ぎると感じた場合でも、使っている会計事務所が良くない会計事務所だとすぐに判断を下すのは早計です。
まずは会計事務所に 「なぜこれらの数字がこんなに大きいのか」という説明を求めましょう。

「タイではこうなんです」はダメ

良くない会計事務所は きちんと説明せずに ごまかそうとします。窓口となっている人や、会計事務所から説明に来る人が、実際に自分で仕訳や記帳業務を行った人ではないことが多いので、きちんとした説明が出来ないことがほとんどです。

ひどいところになると「タイではこうなんです」と言って丸め込もうとします。

伝票も見ながら 具体的な説明

実際の伝票を見ながら 「これらの伝票が一般的な経費に入ることが出来ずに損金不算入費用となってしまうのです」 というような 明確な説明が出来る会計事務所が 良い会計事務所です。至極当たり前のことですね。

弊社では 会計をアウトソーシングした際の問題点を熟知しおり、それらの問題が起こらない仕組みを提供いたしております。無駄に利益を減らすことを最大限に防ぎます。
また、現在の会計事務所の評価、会計担当者のスキルチェックなど、どこに問題点があるかも明確にいたします。

是非お気軽にお問い合わせください。

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