日本語通訳の正しい使い方 とは

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多くの日系企業において日本語通訳スタッフとして置いていますが 「 日本語通訳の正しい使い方 」を出来ていないように見受けられます。今回は、日本語通訳の正しい使い方 に関して説明します。

通訳者の言語レベルが低い?

自分の会社の通訳者のレベルが低いと嘆く日本人も多くいます。通訳者はタイ人の方が多く、もちろん日本語はネイティブではないでしょうから、日本語のレベルが低いというのは致し方ないことですが、その通訳者も努力して日本語を学び日本語能力試験ではN3~N1の素晴らしい成績を残している方々かと思います。本当に日本語能力が足りないのでしょうか?

日本語も タイ語も 省略が多い言語

日本人として今までの経験の中でも、「あの人は言葉が足りない」「あの人の言っていることはよくわからない」ということがあったと思いますが、ご自身が通訳者に伝える際の日本語はこのようになっていないでしょうか?「主語」「目的語」を省略せずに、英語の様にきちんと「誰が」「何を」「どこで」「どのように」ということを明確に伝えれてますか?

実は、タイ語も日本語と同じく、省略することが多い言語です。まず、たいていの場合主語を明確に言いません。「誰が」ということなく会話が進んでいくことが多いです。逆に特定の人の話をしている場合に「彼が」という単語が主語になっても、その特定の人のことではなく「一般的に~だ」という意味だったりします。

英語とは異なり、このような省略も多く曖昧さも含む2つの言語同士の間の通訳となりますので、相当な注意を払って聞き、しかも話の内容を理解していないと正確な通訳は不可能です。

タイ人同士でタイ語の会話でもミスが多い

タイ語の会話ではかなりの省略をしますので、主語や目的語、修飾語なども極力省略して、ほぼ動詞だけで会話をしていたりします。これが悪いということではなく、これはタイの文化なので、このことを受け入れたうえで業務を適正に行うにはどうするかと考えるのが重要です。
タイに長い日系企業の社内では、口頭で曖昧なまま業務が進んでしまないようにかなりの数の確認伝票が使われています。日本から来たばかりの人には無駄だと思われることもありますが、タイで正確に業務を実行するには必要なものとなります。

内容が正しく伝わっているか確認が必要、復唱させることも

細部まで伝えたくて時間をかけて喋った後、通訳者がタイ語に通訳したのを聞くと心なしか短く、あっさりしてるように感じた場合、タイ語特有の省略がされている可能性が高いです。
逆に、日本人が日本語で伝える際に、きちんと細部まで含めていなかったり、主語などを省略した話をしてしまうと、通訳者が話の内容を100%理解していない場合には、正しい通訳が出来ていません。

これらの誤りを避けるためには、話した内容がきちんと伝わっているかフィードバックをとることが重要です。「わかったか?」で済ましてしまいがちですが、スタッフからしたらよくわかっていなくても「わかった」と言わざるを得ません。
一番良い方法は復唱させることです。しかし復唱をさせるというのは小さい子供にやっているようで、馬鹿にしているような感じになってしまうので、あまりやりたくないという話も聞きますが、そんなことよりも業務を正しく進めることの方が重要ではないでしょうか。

業務の指示を通訳者に任せないこと

通訳者を置いている企業でありがちな誤りが、業務の指示を通訳者を通して行ってしまうことです。
業務の指示はあくまで上司から部下でなければなりません(上司→部下)。通訳者を使う場合には、上司から部下へ指示を出す際に「側で通訳をしてもらう」だけであるべきです。部下への指示は必ず上司である自分が行うという自覚を持ってください。
やりがちなのは、上司から通訳者に指示をして、通訳者が部下に指示を出すパターンです(上司→通訳、通訳→部下)が、これは絶対に避けた方が良いです。

通訳者がマネージャーではない場合

(上司→通訳、通訳→部下)という手順にて業務を進めてしまうと、部下は上司でもない人から仕事の指示をされるため不満を持ってしまいます。その場で確認したいことがある場合は通訳者に聞くことになりますが、通訳者が分からないことだった場合、わかりませんで終わってしまうか、適当に答えてしまうか、上司に確認してください、と言われることになり、言われた部下にはひと手間増えてしまいフラストレーションが貯まります。

日本人 vs タイ人

通訳者も、やれと言われてやっていることで他のスタッフと仲悪くなりたくないですから、部下のフラストレーションが貯まってきたときには「でもあの日本人がそう言っているので私ではどうしようもない」と逃げてしまいます。そうすると、部下の方々は「日本人は横柄だ」という考えに偏り、社内に「日本人vsタイ人」の構図が生まれやすくなります。

日本では絶対にしていないこと

上司からの指示を業務に直接関わっていない人に一度託して、その人から部下に指示してもらうという業務のやり方ですが、こんなこと、日本にいたときには絶対にしていないはずです。
特に、入社間もないスタッフや、業務知識の無いスタッフには、伝言すらも頼むのを躊躇していたはずです。
タイにいてもこれは同じことなので、日本でのことも思い出して社内体制を作ってください。

日本語通訳者の評価

日本語通訳者を上手く使うために、通訳者の能力を適切に評価してあげることも大切です。言語のスキル、通訳のスキルも大切ですが、それだけで評価するのではなく、それ以上に重要な評価項目として以下のようなものがあると考えます。

(1)わからない言葉や話の内容をごまかさずに聞き直したり確認し、自分で理解してから相手に正確に伝えようとしているか

(2)直接の担当業務ではなくても、社内の業務に関することを全て把握しようと努めているか

日本人が 日本人スタッフ間の 通訳をした場合

日本人が、日本人と日本人の間に入って、日本語で通訳のような橋渡しをした場合を想像してみてください。もちろん日本語がネイティブなので、日本語能力に問題はありませんが、会話の内容が専門分野に関することだった場合、その専門分野に関する単語やプロセスの知識が無いと間に入って橋渡しをするなんて不可能だということがわかります。
通訳者も同じで、いかに言語能力が高くても、話の内容の知識が無ければ正確に通訳することは出来ません。ですので通訳者の評価には言語能力だけでなく、上記2点の評価が重要となります。

まとめ

日本語通訳が社内でうまく機能していないと感じた場合には、

(1)日本語での説明は正しいか、言葉を省略していないか、対象は明確か
(2)通訳者が言語以外で努力しているか、努力の仕方をわかっているか
(3)通訳者が不適切な権力を持っていないか

などに注意してみると良いです。

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