【不正の具体例③】 購買の不正

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不正の具体例として 購買の不正 に関して説明いたします。タイではもはやこの不正が行われることが当たり前のようなっている不正なので、ほとんどの企業にて既に対策を講じられていると思いますが、その抜け穴が完全に塞がれているかどうかも含めて記述したいと思います。

バックマージン

購買の典型的な不正の1つとして バックマージン があります。購買担当者がサプライヤーを選ぶ際、サプライヤーから バックマージン を受け取ってそのサプライヤーから購入できるように便宜を図る、もしくは、自分の権限でそのサプライヤーを選ぶ、というものです。

バックマージンによる損害は少ない?

バックマージン分は購入する会社側からするとその分値引いてもらえる可能性があるため、本来ならその分利益になるはずが、利益にならないために会社に損害が出たと考えることが出来ます。このバックマージンの金額が、食事1回分などの接待と同じような額であれば会社にとってはほとんど損害にならないでしょうが、ここタイにおいてはこのバックマージンの額が信じられないほど大きいことが良くあるので考えを改めることも必要です。

バックマージンは「現金」だけではない

バックマージンは現金で渡されるだけではありません。中には、ベンツなどの超高級車を サプライヤーが購買担当者に破格の値段で「貸す」ということもあります。購買担当者は 安い金額だとしても 毎月レンタル料をきちんと支払っているので「個人でまっとうに借りた車に乗っているだけだ」と言い張りますが、その実態はほとんどのお金をサプライヤーが出しているため これもバックマージンや賄賂の1つです。

購買担当者の海外旅行

また、年に1回家族で海外旅行に行くという購買担当者がいて、その海外旅行も全てサプライヤーが準備していた、ということもあります。サプライヤーの営業マンが旅行にもついていき、食事からお土産まで全ての支払いをその営業マンが済ませます。購買担当者は現金を受け取っていませんので、現金の授受がある不正ばかり禁止にしてもこのような形でバックマージンが存在してしまいます。

バックマージンが起こりやすい事例

バックマージンが発生しやすい事例としては、形のある物品を購入する場合より、サービス会社との契約の場合に圧倒的に発生しやすいです。タイのローカルのサービス会社には、購買担当者や決定権を持っているだろう担当者にバックマージンを持ちかける会社が非常に多いのが実態です。

「サービスの質が低い」、「聞いていた内容と実際のサービスが異なる」、「やるべきことをやっていない」、等々、サービス会社に対してこのような不満を持った場合、そのサービス会社はバックマージンで仕事を取っているかもしれません。価格的には他と変わらないけど、サービスの品質が悪い場合、お客様へのサービスにかける費用をバックマージンに使ってしまっていることがあるかもしれません。

中抜き

こちらも典型的な購買の不正です。全ての購買を知人や親族の会社を経由して価格の上乗せを行い、それを横領するという形です。タイでは購買担当のマネージャーになったら親族が会社を起業するというのはよくある話です。

ありとあらゆる購買を親族の会社を通して行い、かなりの利ザヤを稼ぐという大胆なことをする購買担当者も多いですが、これはとてもわかりやすい(発覚しやすい)ので、正直この不正をされている会社側の体制や仕組みの方が悪いとも言えます。

中抜きの大胆な例

過去に製造業のお客様で、購買部長を入れ替えたところ翌年から黒字化した、ということがありました。前の購買部長はどうせ会社側は気付かないだろうと何年にも渡って不正を行ってきた結果マヒしてしまい、会社が赤字になるほど中抜きを行ってしまっていたのです。文房具も潤滑油も1つのサプライヤーから購入するというわかりやすい事態になり発覚しました。逆に言えば発覚するまでに何年もカモにされてきました。購買部署全体が結託して不正を行っていたので色々な書類が改ざんされ隠ぺいされてきました。日系企業は舐められています。

誰も不正に気付かないのか?

上述の中抜きの不正の例ではとても重要な要素がありました。実は社内の会計担当者は不正に薄々気付いていましたが、そのことを経営者や会社側に伝えませんでした。会計担当者が購買部長とグルだったわけではありません。そして、会計のアウトソース(記帳業務)を依頼していた会計事務所や、監査をお願いしていた監査法人も何年にも渡ってこの大胆な不正を指摘できませんでした。
このことは後ほど改めて説明します。

相見積もりでは防げない

最近の中抜きの不正の事例は複雑化しています。1つの会社だけではなく、複数の知人・親族に複数の会社を作らせてそれぞれ担当を決めます。3社から相見積もりを取得させても、その3社全てが購買担当者の親族の会社だということも普通にあります。相見積もりを取るだけでは中抜きの不正は防げなくなっています。

どうやって購買の不正を防ぐのか

購買の不正は複雑化して発覚しにくくなっています。では、どうやって購買の不正を防ぐのかを考えていきます。

購買担当者の身体検査

1つは購買担当者の身体検査です。「身体検査」と言っても身体の大きさを測ったり持ち物検査をすることではなく、その購買担当者がどのような人物かをチェックするということです。購買担当者に対する周りの人間の評判などをチェックし、お金遣いが変わっていないか、車が超高級車になっていないか、派手に遊んでいないか、などに目を光らせます。「立場が人を変える」ということもありますので、定期的にチェックすることも大切です。

弊社では、不正をさせないためと人事評価の1つの目安を作るため、従業員との面接サービス、又は、経営者が従業員と面接を行うサポート(社内の通訳を介さない)を提供しています。

会計担当者との風通し

上述した中抜きの不正の例では、購買部署によって行われていた不正に対して、1.会計担当者(社内)、2.会計事務所(外部)、3.監査法人(外部)、にてそれぞれ以下のような反応がありました。

  1. 会計担当者(社内)  気付いたが、経営者へ伝えなかった
  2. 会計事務所(外部)  気付かなかったか、気付いたが経営者へ伝えなかった
  3. 監査法人(外部)   気付かなかったか、気付いたが経営者へ伝えなかった

こちらの例では明確ですが、以前にも説明した通り外部の会計事務所では不正に気付きにくい、又は、不正を全く見抜けない のです。社内の会計担当者だけが気付くことが出来ましたが、タイ人特有の人間関係の調和を保とうとする力が働いて経営者へは伝えることが出来ませんでした。

外部の会計事務所を使って会計のアウトソースを行っている場合、いかに不正に対して弱いかということと、社内の会計担当者の役割がいかに大きいかということが分かります。

弊社では社内の会計担当者へ適切なトレーニングを行うことや、会計担当者が行うべきレポートルールの制定、経営者と会計担当者とのコミュニケーションのサポート、など現場に拘ったサービスにて不正を防止します。

サプライヤー管理表

もし、ERPシステム や MRPシステム などの購買管理を含むシステムを利用している場合、定期的にサプライヤー管理表を作成させることによって上述した不正は防ぐことが出来ますが、これを購買担当にさせてしまうと本末転倒です。

システムから自動的に出力できない場合には、データを外部出力してExcelで開けるならまとめることが出来るかと思います。膨大な量があるからといっても、RPAで自動作成シナリオを作ってしまえば時間がかからずに定期的に作成できます。

弊社ではこのようなシステムからのデータを利用した不正管理のサポートも行っております。

弊社では、サプライヤー管理表など、今まででは作成していない資料の作成のお手伝い、それら資料を自動的に作成するRPAの導入や、業務内のチェックポイントの作成、社内業務の最適化などによって この手の不正を防ぐ お客様の会社に最適な形での不正防止・不正監査策を提供しています。

是非お気軽にお問い合わせください。

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