タイで見られる不正の実態に関して、その具体例を挙げて説明したいと思います。不正にも色々な種類があるので何回かに分けて説明します。今回は「 経費の水増し請求 」に関してです。
タイは経費が安価
タイでは経費の単価が安い場合が多く、その支払い金額を経営者が見ても「こんなものか」という印象を持つことが多いです。例えば水道代金の単価は日本と比べて非常に安価です。その他でもガソリン代、輸送費、通信費、郵送代、印刷代、飲食費(接待交際費、スタッフパーティー)等々も、比較的安価です。安価であることから、それらの経費の支払い方法に関してもあまり注意が払われていません。
不正の方法
具体的にどのように不正を行うのかに関して説明します。
領収書を紛れ込ませる
不正の方法の1つに、個人的な領収書を紛れ込ませる方法があります。よくやられてしまうのはガソリン代の領収書です。ドライバーが会社の車のガソリンを入れた領収書を精算する際に、自分の車や家族の車に入れたガソリン代の領収書を紛れ込ませる形です。
ガソリン代の領収書には車のナンバーが書かれていることが多いですが、会計担当者や会計事務所は日々膨大な書類を処理するため、いちいちそれを確認していません。特に会計事務所には車のナンバーも伝えていないことが多く、会計事務所で確認するのは不可能です。
高速代による不正
高速代などの使った人の名前が出ない領収書で経費精算する場合にも会社とは関係の無い領収書を簡単に紛れ込ませることが出来ます。実は高速代の領収書はビルの駐車場でドライバー同士が売買していることがあり、45バーツの領収書を20バーツで購入し、会社で精算して45バーツをもらい、差額の25バーツを懐に入れるということをしています。
通信費・光熱費による不正
個人的な通信費、電気代、水道代などを会社の経費に紛れ込ませていたケースもあります。もちろんこれらは個人名の領収書となっていますので簡単に発覚しそうなものですが、会計事務所に対して会社が了承している伝えてしまえば、会計事務所はそれを信じて「適切に」処理します。
口述しますが、会計事務所はこの手の経費に関しておかしいと口を出すようなことはまずしませんし、監査人や税務署も適切に処理されていて適切な税金が支払われていたら特にコメントをすることはありません。たまたま発注元の経営者と仲の良い会計事務所の担当者の方が膨大な領収書の中から個人名の領収書を見つけて、「これ大丈夫ですか?」と経営者に連絡するはあるかもしれませんが、その確率を考えてみていただければそんなことは起こり得ないとわかると思います。
領収書の偽造
VATの明記されるTAX Invoiceではない領収書(タイ語でバイ・ラップングン、又は、バイ・ングンソッド)で経費精算をする場合、その用紙はコンビニや文房具屋にて売っているものなので、新しい用紙を買えば簡単に偽造することが出来ます。タイ語で「チャン」と呼ばれる技術者が作業費を請求する場合、このようなどこでも買える用紙で領収書を作成して渡されることが多いですが、不正を行う社員がこれを作り変えて経費精算するのです。
また、大胆な手口としては領収書の金額の最後に0を追加して一桁大きい数字で精算します。
空出張
日本でもある不正ですが、タイでもよく耳にするのが空出張です。タイでは工業団地のお客様を数軒回るだけで1日数百キロもの距離を移動をすることになり、会社の規定によって出張費が発生します。毎日出張手当が発生しているような職種も有り、いちいち詳細を見ていないということも多いです。ここに隙が生じて行ってもいないお客様名を列挙して出張手当や残業手当を稼ぐことが出来ます。
会計事務所ではまず見つけられない
「不正を防止するために会計事務所を使っている」という方がたまにいらっしゃいますが、会計をアウトソーシングして会計事務所を使っているから「こそ」これらの不正が起こりやすくなります。
このことに関しては後日別記事にて詳しく説明したいと思います。
不正を防止する方法
これらの不正を防止するには、経費精算される領収書に目を光らせることです。領収書はほとんどタイ語ですし、何が書いてあるかわからないということもあります。しかし、どんなことが書いてあるかを調べようとし、担当者にも直接聞いて、把握しようとしてチェックしようとしているという「姿勢」が結果として不正を予防することとなります。
会計担当者を不正チェッカーとしてアップグレード
いちいちそんなチェックをしているような時間が無い、という経営者も多いと思いますので、その場合には会計担当者をトレーニングして、ある程度の責任を会計担当者へ持たせるという方法があります。経費精算をする会計担当者が経営者と同じ目線で目を光らせれば、社員が不正を行うことは難しいです。
しかし、タイ人はどんなに不正があることを知っていても、周りとの調和を大切にして上司へ報告しない人が多いので、そうならないために会計担当者の適正の見極めとトレーニングが非常に大切になります。
経費精算業務のアウトソース化
もう1つの方法として「経費精算業務もアウトソース化」するという方法があります。大抵の会計事務所では受けてくれませんが、弊社では不正防止の1つの方法として経費精算業務のアウトソースも受けております。
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弊社では上記のような社内の不正を行わせないための、
(1)会計担当者の適正チェック
(2)会計担当者のトレーニング
(3)会計業務アウトソーシングの見直し
(4)経費精算のアウトソース
の提供を行っております。
社内の不正をされているのではないかと気になっている経営者の方、一度ご連絡をいただければと思います。ご相談無料です。
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