【不正の具体例②】備品 や 消耗品 の 横領・転売

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不正の具体例の2つ目として、会社内で起こっている 備品や消耗品の 横領・転売 に関して説明します。タイでは非常に事例が多く、気にしていないと社内でこの不正を行われている可能性が高いので、具体例を知って社内に目を光らせることをお勧めします。

不正の概要

この不正のやり方としては非常に単純です。社内にて使われている備品や消耗品を外部へ持ち出し、私的に流用したり転売するというやり方です。より悪質なパターンとして、社内で使われていない備品をわざわざ会社の備品として仕入れ、それを外部へ持ち出して横領するというパータンもあります。

ITに関する不正

私たちのグループ企業では 会計を中心としたサービス と、 ITを中心としたサービス の 主に2つの柱でサービスを提供していますが、お客様の社内にてサービスを提供している際に、以下に紹介するような ITに関する不正を見つけることが多いです。

ITサービス料金の不正

ITに関する不正の1つとして、社内の担当者が ITサービス会社や ITの下請けを行う技術者と連携をして 本当は必要の無いサービス料金を発生させてそれを分けるというものがありますが、それはまた別の具体例として後日説明したいと思います。

IT備品の 横領・転売

IT関連にて消費する消耗品で代表的なものはプリンターのトナーやプリンターインクがあります。業務ではまだまだ紙を使うことが多いため、トナーやインクは常に消費します。どれくらいの頻度で購入しているか、消耗品の在庫数量はいくつあるかなどの管理をきちんと行っていないと、これらは持ち出され転売されやすいです。

USBドライブ、ハードディスク

USBドライブ、外付けハードディスク(HDD)など、最近は安価になってきたので会社の経費としてはそれほど目立たない IT備品なども対象となりやすいです。あるお客様では、社内でUSBドライブの使用を禁止しているにも関わらず、毎月USBドライブを購入した領収書があり発覚したということもありました。社内のルールを把握している人がしっかりと領収書の内容を確認しているために見破れたケースです。

IT機器、ソフトウエア

IT担当者は社内のIT環境をよくするために、ルーター や スイッチ(ハブ)、ソフトウエアなどの IT関連の機器や備品をテストで購入して試してみたりします。実際の機器を使って社内と同じ環境を作ってテストする、というのはITでは当然行わなければならない手順ですので、そのために機器や備品を購入することは普通のことです。しかし、テスト後に結局使わなくなった機器や備品が余ることがあり、IT担当者はそれを自宅などで使ってみたいという衝動から持ち出してしまうことも多いです。これが常態化してしまうと、新しいIT機器が売り出されているのを知ったらテストしたいということで会社で購入し、結局それを持ち帰るということが頻発し、長期間で見るとかなりの横領をされていることになります。

ITリソース、インターネット回線

他にも、IT関連の不正としては 業務中にPCの画面からは隠れたところで(PCのバックグラウンドといいます)常に動画をダウンロードしてるとことがあります。そのスタッフは業務は真面目にしているため特に問題ないように見えますが、インターネット接続のリソースを圧迫してしまうためにインターネットの速度が遅くなり、Zoomでのオンライン会議がとぎれとぎれになったり、大切なメールをリアルタイムで送れなかったりという弊害が起こり業務に支障が出ます。
ダウンロードした動画を 会社で購入した備品の USBドライブやDVD-Rへ保存して 他のスタッフへ売ってお金儲けをしていた、なんて例も多くあります。

横領・転売 の 具体例

実際に弊社にて見つけた 横領・転売 の具体例に以下のようなものがあります。

マスクの転売

最近はお店でマスクを購入できるようになりましたので不正も少なくなったと思いますが、マスクの供給が足りていなくて高額で販売されていた時には、会社が従業員用に準備したマスクを持ち出して他に転売していたケースが非常に多くありました。

飲食店での 洗剤、食器

飲食店でもこの手の不正は後を絶ちません。食材在庫はきちんと管理している店舗でも、消耗品の洗剤や アルコール除菌液などで不正をされてしまいます。
調理器具や皿などの食器類も会社の資産ですので、きちんと資産管理をしていないと知らないうちに数が減っていることがあります。特に和食器に関しては、最近では Lazada や Shopee にて高額で簡単に売れて人気も高いため 横領・転売 のターゲットになりやすいです。

工場での有価ゴミ

工場では意外に見落としがちなのが「有価ゴミ」です。清掃のスタッフが毎日ポケットに詰めて持ち帰ったりなんてことは日常茶飯事です。大量ではなくても、1日20バーツにでもなれば横領してしまいます。「ゴミ」だと思っているものですから罪悪感も有りません。1日20バーツになれば20日で400バーツです。給与を400バーツ上げてもらうより手軽なのです。

社用車の装備

ドライバーに常に車の管理をさせていると 車の装備が純正品ではないものに変わっていることがあります。フロントガラス、リアガラス、ミラー、ワイパー、ハンドル、タイヤ、ホイール、シートに至るまで、ありとあらゆる車の装備が安価な粗悪品に交換され、その後すぐに「問題が出た」、「事故で傷が付いた」 などと言って会社の経費で修理をして純正品に戻し、定期的にそれを繰り返す悪質なドライバーもいます。

会計事務所はスルー

上述したような不正では、会社の経費にて支払いを行っており、きちんとした領収書も 決裁書もありますから、アウトソースを依頼している会計事務所ではこのような不正を見抜くことが出来ません。

たまに、「不正が怖いから会計業務をアウトソースしている」という意見を耳にしますが、不正の種類によっては外部の会計事務所を使っているために見抜けない、不正され放題になっているということがありますので注意が必要です。

以前の記事でもそのことは解説しています。

タイでの 会計業務アウトソース の メリットとデメリット②
今回は会計事務所に 会計業務アウトソース を依頼した場合に不正を防げるのかという観点から考えてみます。実は会計事務所はほとんどの不正を見破ることは出来ませんが、この理由は、会計事務所は受け取った情報から正確な会計レポートを作ることが主な仕事で、受け取った情報(伝票)の整合性が合っていれば何も疑いを持たないからです。

対策:経営者が目を光らせる

上述した不正に関してどのように対策すれば良いか、ですが、経営者がこの不正に対して理解して目を光らせていればこの不正は起きません。特に支払いの署名を行う際に、きちんとその詳細を確認すれば必要ないものを購入したり支払いをすることを避けられます。とはいえ、経営者は多くの業務を抱えて忙しいので、いちいちそのようなことは見ていられないというのが現状だと思います。

弊社では、チェックポイントの作成や、社内業務の最適化、レポートの形式を変更することなどによって この手の不正を防ぐ お客様の会社に最適な形での不正防止・不正監査策を提供しています。

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