【不正の具体例④】 現金の横領

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不正の具体例のその4として 現金の横領 に関して説明します。社内で一番注意を払われていいる不正の1つで、現金を扱う会計担当者がこの不正を出来ないようにルールや社内規定が定められています。

現金横領の手口

社内での不正というと真っ先にこの 現金の横領 を思い浮かべる人が多いと思います。日本でもよくニュースになっているからだと思いますが、ニュースになるようなケースは何億円もの現金を横領したというようなケースです。もし、そのような不正を行われてしまったら会社は大変なことになるので、現金の横領をされないようにしなければと考えるのも自然のことです。

不正の手口を理解して、正しい不正防止策を知ることが大切です。

会計担当者が起こしやすい不正

社内で現金の横領をしやすいポジションとしては圧倒的に会計担当者です。社内で現金をそのまま取り扱う立場にあるのが会計担当者や会計マネージャーだからです。支払いに関しても、集金に関しても、会計担当者が行っているケースが多く、実際の現金と記録との差異が出た場合には、会計担当者が誤ったのか何か不正をしたのかと真っ先に疑われます。

現金の横領に関してはその手口も単純なことが多く、発覚もしやすいのが実態です。

手口1.持ち逃げ

会社の銀行口座を扱える立場の人間が、銀行口座から現金を引き出して持ち逃げするケース。どこかへ支払うための現金を横領、又は、支払先を変更して自分や身内に支払いを実行する。お客様から集金した現金を持ち逃げする。

どれも非常に単純で発覚しやすいです。特にタイでは毎年監査が義務付けられているので、よほど手抜きの監査人かグルになっている監査人でなければ、監査の際にこの不正は発覚します。

しかし、書類や伝票を改ざんしている場合、発覚しないケースも存在します。(後述します)

手口2.小口現金のごまかし

社内では会計担当者や各部門長が、突発的な支払いや現金だけしか受け付けられない支払いにのために、小口現金(ペティキャッシュ、Petty cash)を持たされています。この小口現金をごまかして横領する手口があります。もちろんこの不正も出納をチェックし何に使ったのかをきちんと管理していればすぐに発覚します。

小口現金の1ケタ違い

以前、会計担当者が何年もこの小口現金をごまかし続け、帳簿上は30万バーツとなっていた小口現金が手持ちでは3万バーツしかなく、数年前から(自分が入社する前から)こうだった、桁数を間違えて記録していたんだろうと言い張っていて、結局証拠がないまま会社が諦めるしかなかったということがありました。

この会社では 会計業務をアウトソースしていて、外部の会計事務所とそこから紹介された監査人に任せて安心していたために、この不正を行われてしまいました。外部の会計事務所も監査人も実際に会社に来て小口現金を数えることをしていなかったのです。

現金の横領 を防ぐには

現金の横領 は非常に発覚しやすい不正なのですが、最初から不正をされないように 不正を防ぐ仕組みを作っておくことは非常に重要なことです。現金を横領されてしまってからでは、その現金を取り返すのはとても難しいことです。

隙を見せない

タイでの窃盗のほとんどは衝動的な出来心で行ってしまったと言われています。数年前のALSOK調べです。(弊社グループは ALSOKタイとの資本提携パートナーです)
たまたま机の上に現金が置いてあったのでついつい取ってしまった、などというケースが多いそうです。社内の現金の横領に関しても、「出来そうだったのでやってしまった」ということが起こります。

これを防ぐには、「不正は出来そうに無い」と思わせるように、常にチェックされている状態だと認識させることです。

会計事務所がチェックしているだろうから、社内では特にチェックしていない、などという体制では、横領を行おうとする人物は外部の会計事務所さえごまかせれば横領が出来るということになります。

経営者がチェックしているという姿勢を見せる

支払い伝票、銀行口座の出納、小口現金の出納、これらを目くらサインで進めていくのではなく、たまには1つ1つこれは何なのか、何に対しての支払いなのか、などを定期的に聞くだけで会計担当者は不正を行うことが出来なくなります。

チェック体制のルール作り

経営者だけでなく、他の人もチェックしているという体制やルール作りも有効です。日本では1つの支払いを決済するのに、何人ものハンコが必要になったりしますが、タイの子会社では会計担当者とその上司のみということも多いです。その上司が目くらサインをしてしまったら、実質チェック体制は成り立っていません。

それでも発覚されないケース

社内ではチェック体制が無く、会計事務所だけがチェックしている場合、一番発覚しやすい不正である現金の横領も、発覚しなくなってしまいます。会計事務所は何に対する支払いかということは気にしないからです。書類と現金・資産の数字のつじつまさえ合えば会計事務所の仕事は終わりですから、現金の流れと合うように伝票や書類を改ざんすれば、会計事務所では不正だということはわかりません。

下記の記事にも説明しています。

経営者の心構えが一番重要

会計をアウトソースしていても、社内で会計を内製化していても、どちらにしても経営者の気持ちの持ちようが一番重要になります。

  • 隙を見せない
  • 経営者自らがチェック(姿勢だけでも)
  • チェック体制とルール作り
  • 会計事務所だけに頼らない

弊社では、不正をされているかもしれないと不安の経営者の方向けに、不正を見破るポイントや、不正をさせない仕組み作り、などのサポートをしております。ご相談無料です。

また、会計のアウトソーシングをしている会計事務所が安心なところかどうか見極めるポイントなども提供しております。

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