採用試験 を設けていないのに、採用した人材の質が悪いなどと愚痴を言っていても仕方がありません。今回は、タイではどのような 採用試験を設けるかなどの、採用試験 に関する考え方と、採用試験 の作り方に関して説明します。
良い人材を集めるためには
人材紹介業を営んでいると(弊社は人材紹介ライセンス保有企業です)お客様より「良い人材が集まらない」というような話を耳にすることがあります。良い人材を採用するためには、まずは採用前に良い人材に来てもらうように工夫する必要があります。
このことに関しては以前の記事で書きましたので参考にしてください。
良い人材を選別するためには
人材を募集して集めることが出来たら、採用試験を行ってその中から採用する人材を選別するわけですが、人事部の無い多くの企業では採用試験をきちんと作っておらず、面接のみで合否を決定されています。人事部を経験されている、もしくは長く会社の経営をしていて、人材を見る目に自信があるという方はこの方法で問題ないでしょうが、ハキハキ喋れている、愛想が良い、などの判断基準で採用を決めていると良い人材かどうかはなかなか見極められないのではないかと思います。
面接だけでは不十分か?
面接だけで人材を選別するのは不十分だ、ということではありません。もちろん面接でも良い人材を見極めることは可能ですが、そのためにはしっかりとした採用基準が必要になります。その基準に沿った「採用試験」として面接を利用することが重要です。採用面接をただの面談で終わらせてはいけません。
「採用試験」としての面接
採用試験として面接を考えたとき、きちんと準備をして面接をするべきです。
- 採用の基準
- 基準に沿った質問
- 想定される回答、配点
採用の基準としては、募集しているポジションに相応しい人材像を想定して基準を作ります。面接時にする質問としては、想定した人材像が他の人材と異なる点を浮き彫りに出来る質問が必要です。そして、準備した質問に対して想定した人材ならこのように回答するだろう、違う人材ならこう回答するかもしれない、と人材が答える回答も想定して、どのような回答であればより相応しい人材だと判断できるかを事前に確認しておきます。
準備をしている人材もいる
少し話はずれますが、採用する企業側は面接の準備をしていないのに人材側はしっかりと準備をしているということがあります。特に新卒の人材ですが、大学で English Interview という単位を取得していることがあります。これは大学にて採用試験の英語面接を乗り切るためのノウハウを教えている授業です。想定される企業からの質問と自分なりの回答を英語で作成して丸暗記していたりします。面接では結構英語が出来ると思ったのに、仕事を始めてからあまり英語のコミュニケーションが出来ない、という人材に当たったことがあれば、その人材はしっかりと採用面接のための準備をしてきた人材というわけです。
採用の基準
上述した採用試験の準備の1つ、採用基準に関して説明します。人事部が無い企業では採用基準や採用の判断を上司になる人間(マネージャー)に任せることが多いですが、経営者が基準を作る、または、経営者がマネージャーに基準の作り方を教えることをお勧めします。マネージャーも人事部の経験が無ければ、ハキハキ喋れているかくらいの採用基準しか持っていないので、誰かが教えてあげる必要があります。
採用基準の見るべき項目
弊社がお客様の代わりに採用基準を作成する際、重視する項目は以下の通りです。
- 業務・ポジションの経験、資質
- 性格
- 継続力、忍耐力
- コミュニケーション能力
- 考える力、応用力
上記は重要な順番ではなく、確認しやすい順番となります。
【1. 業務・ポジションの経験、資質】は、レジュメの経歴でかなりわかりますので、ほとんどの方は判断できると思います。
【2. 性格】も、面接である程度はつかめます。ただし、1時間程度話をしただけでは性格の全てを理解するのは難しいので、何度も面接したり、何人もが面接したりと、この人材が本当にどのような性格なのかを知る工夫が必要です。
【3. 継続力、忍耐力】は、1と同じくレジュメの経歴である程度はわかります。本質のところを見極めるには、実際に忍耐力を必要とすることをやらせてみるとはっきりとわかります。一般に出回っている試験としては、内田クレペリン検査などが有名です。(内田クレペリン検査 <公式>)
曲者の「コミュニケーション能力」
【4. コミュニケーション能力】が曲者です。面接で見極められると考える方が多いですが、ここタイではなかなかそうはいきません。仕事になると質問の意図と全く違う回答をしたり、レポートをさせても要領を得ない説明ばかりで、日本人にとっては言い訳に聞こえてしまう会話を経験したことがあると思います。しかし、スタッフの方は皆、御社の採用面接をクリアしてきた人材、つまり、コミュニケーション能力に問題無しとして採用された人材です。
タイ語と日本語の独自の問題
タイではこのコミュニケーション能力を見極めるには面接ではなかなか難しいと考えています。タイ語は日本語と同じく主語を省略します。そして、「何を」「どこへ」「いつ」「どうやって」などもほぼほぼ省略した発言で会話をします。日本人も日本語だとかなりの部分を省略して会話をしますが、日本人は相手が何を言っているのかを注意深く観察する癖が身についていますから日本人同士だとあまりトラブルにはなりません。ところが、日本人とタイ人が会話をすると、お互いが省略しあって発言をするためわけがわからなくなります。通訳を通すとなおさらです。
コミュニケーション能力を測る
もちろん日本人とでもきちんとコミュニケーションを取れるタイ人もいます。日本人の上司が何を言っているのだろうと注意深く観察して、上司が欲しい回答を出してくれます。このようなコミュニケーション能力が人材にあるかどうかをすぐに見極めるのは難しいですが、弊社では独自の試験を用いてコミュニケーション能力の高い人材を選別しています。
考える力、応用力
【5. 考える力、応用力】ですが、これは面接で測るのは非常に難しいです。日本人であれば大学名である程度絞れるのではと考えますが、タイではなかなかそうはいきません。特にタイの私立大学には入学試験そのものが無いため(奨学金をもらうためのものはある)、頭が良いから、努力したから、この大学に受かったという判断基準とはなりません。
弊社では、この【5. 考える力、応用力】と【4. コミュニケーション能力】のための独自の試験を取り入れています。お客様のご要望によってお客様独自の試験を作るサポートを致しております。
業種、ポジションによる独自の採用試験
上述した採用基準は、同じ企業であっても募集するポジションによって異なります。もちろん、それぞれの業種によって採用基準が異なるのが当然です。ですのでここでは漠然とした概要しか書けず、具体的な内容を書けませんでしたが、人材の募集をする際にはどうか御社独自の採用基準を作り、御社独自の採用試験を用いて御社に最適な人材を採用できるようにしてください。
弊社では、人材を募集する際のお手伝い、人材の紹介、採用に関するサポート、独自の採用試験の作成サポート、などのお手伝いを行っております。
また、人事のアウトソース、人事コンサルティングも行っております。
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